DX推進方針
DX vision1. 経営ビジョン(最高経営責任者コミットメント)
当社は間もなく創業から80周年を迎えます。一つの工業炉メーカーとして、地道に実績を積み重ねながら日本のものづくり産業の発展を熱技術分野から支えてきたと自負しています。一方、現在の製造業を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。たとえば、熟練技術者の高齢化に伴い属人化している技術が継承されることなく消えていってしまうのではないかという危機感があります。また、顧客からは自社設備に応じた省エネ・脱炭素(カーボンニュートラル)推進策の確立という多様かつ喫緊のニーズがあります。これらに対応するためには設計・製作・施工の各プロセスの高度化とプロセス相互の連携・連動強化が不可欠だと認識されます。
これら課題を打破し100年企業を目標として更に飛躍するため、私は経営のトップとして、全社を挙げたデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に推進することをここに決意します。
当社には80年の歴史の中で先輩や社員が泥臭く積み上げてきた工業炉に関するデータや施工ノウハウがあります。これは当社の財産です。この財産を心新たに耕して「生きた経営資産」として蘇らせるとともに、最新のデジタル技術およびAI技術と融合させて事業を前進させるエネルギーにしたいと考えています。「社内データを活用した無駄のない設計施工管理システムの構築」および「データ駆動型の高度な熱変革ソリューションの提供」を5〜10年後の目指すべき姿(ビジョン)とし、実績の延長線上にとどまらない「未来型ものづくり企業」へと自らを変革してまいります。
代表取締役社長 小林 太郎
2. DX戦略(ビジョン実現に向けた方策)
上記のビジョンを実現するため、これまでの取り組みと教訓を活かし、「社内の業務変革」と「製品・サービスの付加価値向上」の2つの軸からDX戦略を実行します。
① 過去の取り組みと現在の到達点(デジタル化の端緒)
工業炉事業部は、顧客データ、納入設備の仕様や設計上のポイントなどをまとめた案件ごとの「カルテ」を作成し、過去の実績を共有(伝承)するとともに現在と将来の業務に活かすことを試みました。しかしながら手作業によるデータ入力の負荷が高く、いつのまにか立ち消えになってしまいました。このような負の教訓を活かし、現在は「JUST.DB」の導入や「Power Automate」の活用などノーコード/ローコードツールにより、日々の実務に組み込まれた書式から自然とデータが集まるデータベースの構築に取り組んでいます。
また、セラミックス事業部とくに耐火物の製造工場においては、「Kintone」を活用し現場主導で「操業状況をデータ化し部署間の連携を円滑にするアプリ」を構築しています。これらのアプリは改良を重ねつつ、操業に不可欠なインフラとして活用されています。
② 今後の展開:社内データ活用・働き方改革の推進(守りのDX)
「過去データ資産のデジタル化」と「実務用各種アプリ」の構造化:JUST.DBやKintoneで足元の業務データを着実に集めつつ、これからの重点取り組みとして、積み上げてきた過去のデータ(図面、仕様書、施工やトラブル対応記録等)をデジタルデータとして整理・統合するインフラ整備に着手します。ストレージサーバー、JUST.DB、Kintoneに蓄積されるデータとこれら過去の知見とを融合させ、最大限に活用する「社内データ検索システム」を構築します。さらに、単なる入力ツールにとどまらず、「そのアプリなしでは日々の業務がはかどらない」というレベルで実務プロセスそのものに組み込まれた、スマートフォンやタブレットで動作する「工事/工場現場アプリ」および社内事務を強力に自動化する「社内業務アプリ」をそれぞれ自作・開発・実装し、設計・施工現場からオフィスまでペーパーレス化と圧倒的な業務効率化を推し進めます。
AIを絡めた高度なデータ活用アプリへの発展:日々の実務アプリから蓄積される精度の高いデータと、デジタル化を進める過去の膨大な知見を土台とし、今後は「AIを絡めた次世代型の業務アプリ」の開発に取り組みます。過去の熟練技術者のノウハウや蓄積されたデータをAIがアシストすることで、仕様書や図面作成などの資料作成スピードを飛躍的に向上させ、属人化していた技術の組織共有と継承を自動化する仕組みを構築します。
③ 事業のDX:AI技術を活用した次世代工業炉技術の研究(攻めのDX)
AIを活用した工業炉設計の高度化:当社のコア技術である工業炉設計・熱処理技術と、最先端のAI技術を掛け合わせた次世代の技術研究に着手します。これまでベテラン技術者の経験値や実績に頼っていた設計業務に対し、今後は整備していく過去のデータとAIモデルを融合させ、高度な「炉内の熱流体シミュレーション技術」の新規導入・最適化に向けた研究・検討を進めます。これにより、顧客から要望の強い「省エネ・脱炭素(カーボンニュートラル)」に直結する高性能・高効率な工業炉の開発スピードを加速させ、データ裏付けに基づいた高度な製品提案を目指します。
3. DX推進体制
本戦略を確実に実行するため、社長直轄のプロジェクトとして以下の推進体制を構築します。
- 統括責任者:代表取締役社長 小林 太郎
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推進事務局:経営企画室
- 全社横断的なプロジェクト管理、足元のデータ蓄積および過去データのデジタル化の推進、各事業部のアプリ自作・AI活用の社内ハブ機能
- 新たなツールの導入に伴う社内業務フローの見直しや責任範囲の変更調整
- 現場実行メンバー:設計部門、施工管理部門、製造・操業部門(事業部)の責任者
- 外部パートナーとの連携:高度な「社内データ検索システム」や「AI連携アプリ」の構築にあたっては、外部ITベンダーとの戦略的協業体制を組みます。また、外部ベンダーの知見を活用し、社員向けのITリテラシー向上研修やアプリ自作のための「社内教育」を継続的に実施し、全社的なデジタル人材の育成を推進します。
4. 人材育成およびIT環境整備の方針
- 人材育成方針:経営企画室を中心として、全社員がデジタルツールやAIを武器として扱えるよう、定期的な勉強会やアプリ開発ワークショップを開催し、「自ら現場をカイゼンするDX文化」を醸成します。
- IT環境整備方針:クラウドインフラ(JUST.DB、Kintone等)を積極的に活用し、現場からでも安全にデータへアクセス・入力できる環境を整備します。また、将来的な過去データ活用・AI分析を見据え、眠っているアナログデータや分散しているデータの構造整理(標準化)を段階的に進めます。
5. 成果指標(DX推進KPI)
当社のDX戦略の進捗およびビジョンの達成度を測るため、5年後の【2031年度】を目標年度として以下のKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に振り返りを行います。
- 設計・資料作成業務時間の削減:蓄積された過去データのデジタル検索、および今後開発するAI連携アプリの活用により、設計・資料作成業務にかかる時間を【10%削減】(※基準年比)
- 「工事/工場現場アプリ」の活用による残業時間削減:工事現場や工場における「工事/工場現場アプリ」の実務定着により、現場と事務所間の情報共有や報告業務をリアルタイム化・省力化し、関連部門の平均残業時間を【10%削減】
- 「社内業務アプリ」の活用による事務処理時間削減:自動化ツールの導入および「社内業務アプリ」の活用による全社的なペーパーレス化・ルーティンワークの削減により、事務処理にかかる時間を【10%削減】
- 業務のデジタル化率(アプリの水平展開とデータ蓄積の推進):工事現場や工場における主要な議事録・報告書のデジタル入力率100%を維持し、足元の実務データを確実に蓄積します。さらに、JUST.DBやKintoneに加えて「AIエージェント」を活用したアプリケーションの自動開発・自作体制を構築し、図面管理や日報といった周辺業務・他部署へ向けた実務アプリの社内展開を推進し、過去から現在に至るデータの活用基盤を作ります。
6. サイバーセキュリティ対策方針
DXの推進に伴う情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを重大な経営リスクと認識し、適切な対策を講じます。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の趣旨に賛同し、二つ星(★★)を宣言します。当社が定めた「情報セキュリティ基本方針」に基づき、JUST.DBやKintone等に蓄積された社内データの安全な運用、アクセス権限の適切な管理、および社員へのセキュリティ教育を徹底し、顧客情報や機密データの保護に万全を期します。